ひらくスペースをはじめたわけ

 こんにちは。今回はひらくスペースをはじめたわけについて書いてみようと思います。わりとよく聞かれるので笑

なんではじめたの?

 ひらくスペースは、①私設図書館/本屋、②コワーキングスペース、③イベントスペースという3つの機能を持ったスペースです。はじめてから、「こどもの居場所」や「若者の居場所」として市に登録されていますが、基本的には「みんなの居場所」です。誰がどんな目的をもって来てもいい場所です(悪い目的はちょっとあれですけど)。なにかをはじめたい人、なにかを一緒に楽しみたい人、ただ本を読みたい人、ただ仕事場が欲しい人、ただ誰かと話したい人。なんでもオッケーです。なので、ルールはたったひとつ。「ひらくスペースのルールはみんなで決める」。それだけです。

 なぜそのような場をはじめようと思ったかと言うと、わたしのとても尊敬するハンナ・アーレントの影響です。彼女は、「人間が生まれてきたのはなにかをはじめるためだ」と言いました。一人ひとりがそれぞれ自由に考えて行動することを「活動(action)」と呼び、この活動こそが重要であると説きます。「act」という単語の原義は、①はじめる、②つくりだす、そして③動かすことです。一人ひとりが自分の生きてきた人生で見たもの、聞いたもの、経験したものにもとづいて、考えて、なにかをはじめて、それによって物でも、場でも何かが作り出されることで、他の人たちも動き出すのです。

 これは、生まれてきた人間が、例外なく、ユニーク(唯一)であることを前提としています。「あなたと同じ人は一人もいない」。社会はそんなユニークな人々の集合体です。その集合体で、一人ひとりの人間は、そこにその人でないと生み出せないものを生み出せると考えることになります。わたしたちは、生まれた瞬間から、その集合体にとってあたらしいものです。そして、その「あたらしいもの」はそこ(集合体、社会)に、さらなるあたらしいものを生み出すという希望と期待に満ちあふれた考え方です。

 「わたしたちが生まれてきたのは、なにかをはじめるためだ」と。なにかをはじめる時には、どこかの場所や、話したりする人、協力したりする人が必要になることがほとんどです。そういったものは、けっこう少ないですよね。でも、それじゃつまらないじゃない。「なにかをはじめる」。それをしたい。このひらくスペースはそんな想いから開設しました。わたしのはじめることは、ひらくスペースをオープンすることですが、そこからなにかあたらしいことがはじまったら嬉しくてたまらないと思っています。

 現に、書道教室、パン教室、こどものマッサージ教室、リトミック教室、読書会、上映会、短歌会、ゲーム会、ワークショップ、飲み会(!?)などのイベントが開催されてきています。「場所がない」「やり方が分からない」「確定申告が分からない」(!?)などいろいろな悩み相談を受けていますが、ぜんぶ丁寧に一つひとつ可能な限り協力します。話します。そんな姿勢で1年半やってきました。なにかをはじめてくれる人、一緒に楽しんでくれる人、そんな人たちの笑顔がひらくスペースの宝物です。そんな風に思っています。

 「はじめてよかった」。シンプルに偽りのない気持ちです。「なにかをはじめる」。それによって生まれるのは、決して笑顔だけではありません。うまくいかなくてほぞを噛むことだってあるでしょう。でも、ひらくスペースに来てくれる人はひとりにはなりません。すくなくとも私とスタッフがいます(私は頼りないかもしれませんけど笑)。あぁ、なんだか随分と情緒的な文章になってきました。

 なにかを一緒にはじめたい。なんでもいいんです。やりたいことをはじめることは、それが誰かを傷つけるものでない限り、とても貴重なものです。そういう場を一緒につくりたい。そんな想いです。まとまりのない文章かもしれませんが、まぁ、許してください。あ、別に酔っていないですよ笑。たまにはいいじゃないですか。あなたのお越しをこれからもお待ちし続けております。(斉藤)

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