設立趣意書

間も無くサイバー空間と現実世界が高度に融合するSociety5.0の時代が到来すると言われています。21世紀初頭には、インターネットが人々の間で清談を推し進めるのではないかと考えられましたが、実際にはSNSをはじめとしたインターネット空間で、概して分極化が進んでいると言わざるを得ない状態にあります。何より近年では、「公共空間と個々人の関係性の希薄化」が問題として提起され、現に投票率の低下や様々な地縁コミュニティの解体が進んでいるようです。現状を改めて捉え直してみれば、一面的には「優しくない」社会が私たちの目の前に広がっていると言えます。

ただ、実際には、私たちは同じ社会に生き、同じ公共空間を共有していることは揺らぐことのない事実です。インターネット上で露わになる分極化を癒しながら、あらめて直接顔と顔を突き合わせる伝統的なコミュニケーションを介して、社会を前へと進めていく合意を生み出す試みを続けていくことが重要ではないでしょうか。

私たちは、この時代、そして、これから先の時代、民主主義をもとに私たちの社会をより豊かにしていくために、個々人が思考し、相互の対話と熟議、そして再考しながら行動をする繰り返しを積み重ね、世代間格差に代表される現代社会に山積する課題の解決策を共創することをめざしていきます。

世の中を豊かにしていくイノベーションは、座視しているだけでは生まれない以上、私たちはまず「対話の場」を開きます。あわせて、共創を行うためには「知」の積み重ねが必要不可欠です。だからこそ、私たちは、対話の場を通して生み出された知を蓄積するナレッジ・タンクとしての役割も果たしていきます。同時に、蓄積したものを提案・提言を継続的に発信することで、私たちと社会で「新しい知見」を拓きます。そして、構成員がともに組織と社会を啓くことのできる空間を創造することが重要です。私たち自身が、提案・提言をもとに行動していく持続可能なコミュニティであるために、建設的な批判ができる包摂的な組織を目指します。

私たちは、思考・対話・熟議・再考・行動というステップを通して、社会に必要な「共」の場、コモンズを再興していきます。